2020/09/16 17:08
statement
闇夜に出るはずの幽霊が、もしも白昼堂々現れたら、太陽の光を透かして眩しいのではないかなと思うことがあります。
曇りの日に出たなら空の白色に溶けこんでいそうだし、雨の日なら足元で跳ね回るように目まぐるしく出たり消えたりしそうだな、とか。
そんな妄想を続けるうちに、私が撮ったものたちはみんな、幽霊だったら面白いのに、と、思うようになりました。
幽霊は人の形をして現れるものではありません。
私は、現実に紛れこむ非現実的な一瞬のことを幽霊として考えています。
私にとって写真を撮ることが、その一瞬、すなわち真っ昼間の幽霊をつかまえる方法です。
西陽の反射や、水紋、髪の毛の束、枯れた花や蝶の死骸など、実際にこの世にあるものの、その輪郭が曖昧だと感じる存在。
妄想の中の幻なのか、移ろう景色の正体なのか。
そんな、絶えず移ろう実体を持たない亡霊のような光景を集めたのが今回の作品「midday ghost」です。
何かを見つめるとき、いつしか自分の身体が透き通ったような感覚に陥るほどの没入感を味わうことがあります。みなさんの身体も透き通ればうれしいです。
そのとき、あなた自身も真昼のゴーストです。
濵本 奏
midday ghost Exhibition Tours
KAGAWA 2020/11/14~11/23